加計呂麻でワニ捕獲相次ぐ
2017年11月04日
瀬戸内町加計呂麻島で10月31日と今月3日、小型のワニ2匹が相次いで見つかった。同町では43年前にも生きたワニが捕獲された記録があり、専門家は「流木などに乗って東南アジアから流れてきたのでは」と推測。思わぬ「珍客」に住民らは驚いている。
◆東南アジアから漂着?
同島於斉集落の路上で3日捕獲されたワニは体長約60㌢。午後0時半ごろに車で通りがかった男性が見つけ、警察に通報した。近くに住む仁科博さん(68)は「弱っていたが棒を出すと威嚇してきた。出没した理由が分からないので心配」と話した。
瀬相の海岸で見つかった1匹目のワニは体長約60㌢、重さ580㌘。どちらもハブ捕獲用の箱に入れられ、町内の施設に持ち込まれた。於斉のワニは運搬中に死亡した。
岡山理科大学生物地球学部の亀崎直樹教授は、背中のとげや口の形からイリエワニかシャムワニの子どもと推測。海沿いに生息するイリエワニは海を泳ぐこともあると指摘、「フィリピンなどから海を渡ってきたとしても不思議はない。DNAなど詳しく調査して記録に残してほしい」と語った。
瀬戸内町では1974(昭和49)年10月13日にワニの捕獲例がある。記録によると体長85㌢、重さ1・5㌔で、しばらく飼育していたが水温調節ヒーターに噛み付いて感電死したという。同町の郷土資料館にはく製が展示されている。
幕末近い1850年ごろの奄美大島の様子を描いた名越佐源太(薩摩藩士)の「南島雑話」にも、奄美市名瀬住用町でワニが捕獲され、住民らが食べたという話が記されている。「ウミガメの味に似ている」らしい。
町側によると、3日現在、ワニの処遇は決まっていない。異例の事態とあって週明けに行政間で協議を行い、対応が決まるとみられる。