適正飼養を推進 有屋町で野良猫調査
2020年10月30日
奄美ネコ問題ネットワーク(ACN、久野優子代表)は29日、奄美市名瀬有屋町で野良猫の調査を行った。地域住民らが参加し、屋外にいる猫の数や特徴、発見した場所などを記録した。調査の情報を基に、市が繁殖制限を目的に不妊手術を行うTNRを進める。久野代表は「野良猫は奄美の生態系を脅かすノネコ(野生化した猫)の問題につながる。住民と認識を共有して『屋外猫ゼロ』を目指したい」と述べた。
調査には有屋町内会の住民とACNのメンバーら約30人が参加。8班に分かれて町内を歩き、猫を探した。有屋公民館で各班が情報を持ち寄り、猫の模様や、不妊手術済みの印に片耳の先がカットされているかどうかを確認し、発見場所を地図に記録した。
この日は21匹を確認し、そのうち耳先がカットされていたのは14匹だった。調査は30日にも行うほか、市のTNRを経て、12月に野良猫の状況の変化を調べる。来年3月ごろに住民向けの報告会を予定している。
町内会の田丸友三郎会長は「地域の皆さんが声を掛け合いながら調査することで、猫を飼う意識は変わる。多くの人が参加できるように、週末などにも調査を行いたい」と話した。
調査は環境省、県、奄美大島5市町村が生態系保全を目的に策定したノネコ管理計画に基づいて、奄美市が2020年度から進める野良猫モニタリング事業の一環でACNに委託。猫の適正飼養を推進し、ノネコの発生源対策を強化する。
市環境対策課の平田博行課長は「市街地の調査は、住民の力を借りてエリアを広げていきたい。地域全体で見守ながら猫の適正飼養を進める」と述べた。
ACNは19年度、独自の猫管理モデル地区計画に取り組み、同市名瀬の大熊町で住民参加型の野良猫調査を実施した。調査を基に市がTNRを行った結果、手術済みの野良猫が全体の約9割を占めるようになった。
久野代表は「野良猫のふん尿に困っている人も多い。住民が調査に参加することで、身近な問題と認識してもらいたい。人も猫も幸せに暮らせる地域を目指したい」と力を込めた。