「レプトスピラ症」感染確認  飼い犬、イノシシなど 奄美大島

2020年09月13日

 レプトスピラ症のワクチン接種を受ける飼い犬=奄美市名瀬

レプトスピラ症のワクチン接種を受ける飼い犬=奄美市名瀬

  奄美大島で2019年、飼い犬のレプトスピラ症への感染が確認され、島内の野生生物の調査から複数のクマネズミやリュウキュウイノシシが感染していたことが分かった。病原菌を持つ動物に触れたり、尿に汚染された河川に入ると人も感染する恐れがあり、重症化すると死亡することもある。調査を行ったゆいの島どうぶつ病院(奄美市名瀬)の獣医師は、狩猟したイノシシなどの野生生物に素手で触らないことや、河川での遊泳の際に注意するよう呼び掛けている。

 

 レプトスピラ症は、人と動物の間で相互に感染する人獣共通感染症。ネズミなどの尿に汚染された水や土壌を介して犬や人に感染し、風邪や腎障害、黄疸(おうだん)などの症状を引き起こす。熱帯・亜熱帯地域など暖かい場所で病原菌が繁殖しやすく、国内では沖縄県で人の感染の報告が多い。

 

 ゆいの島動物病院で19年11~12月、発熱などの症状で来院した飼い犬2匹の血液を採取し、国立感染症研究所が分析した結果、レプトスピラ症の感染を確認。飼い犬の感染を受けて、両者が共同で島内の野生生物の調査を実施。わなで捕獲したクマネズミ37匹のうち2匹、狩猟で捕獲されたイノシシ10匹のうち3匹で感染が確認された。

 

 同病院は「島内の野生生物はレプトスピラの保有性が高い可能性がある」と指摘。レプトスピラ症には複数の種類があり、奄美大島の野生生物から検出した種類は、人や飼い犬に感染すると重症化する恐れがあるという。

 

 奄美大島ではこれまでに、レプトスピラ症の報告はほとんどないが、抗体検査で陽性だった飼い犬が確認されているほか、人でも16年に2人が感染している。川遊びや河川工事で感染したとみられ、重症化はしていない。

 

 同病院の獣医師は、病原菌に汚染された水に傷口が触れると感染する可能性があるとして、「傷がある場合は川に入らず、長袖で肌を守るなど、水中でけがをしないようにしてほしい」と述べ、飼い犬は野生生物がいる河川や土壌に近づけないことや、ワクチンを接種して感染を予防するよう呼び掛けている。

 

 

【写真】たて

レプトスピラ症のワクチン接種を受ける飼い犬=奄美市名瀬