ツルヒヨドリ防除へ奄美大島で分布調査
2018年04月06日
環境省奄美自然保護官事務所は2017年度、奄美大島に侵入した特定外来生物のつる性植物ツルヒヨドリの分布調査を実施した。これまでに奄美市、宇検村、大和村、瀬戸内町の12地点で確認され、国道、県道沿いののり面などで多く見られるという。同事務所は「繁殖力が強く、在来植物の生育環境に影響する恐れがある」と警鐘を鳴らし、「18年度は着実に防除に取り組みたい」としている。
ツルヒヨドリは南北アメリカ原産。日本では1984年に沖縄県うるま市で発見され、近年は沖縄島中部一帯で繁茂しているほか、同島北部や南部、宮古島、西表島などでも見られ、短期間のうちに分布を拡大している。
11~12月に3ミリほどの小さな白い花が集まって咲き、1月に綿毛を持つ種を多量に付ける。他の植物を覆いながら生育して枯らしてしまい、在来生態系だけでなく、農作物にも大きな被害を及ぼす恐れがあるという。
猛烈な勢いで分布を広げることから、アメリカでは「1分で1マイル広がる雑草」とも呼ばれ、国際自然保護連合(IUCN)の世界の侵略的外来種ワースト100の一つに挙げられている。
奄美大島の調査は16年度にスタート。これまでに瀬戸内町の網野子峠や奄美市笠利町の須野ダム周辺、大和村国直―奄美市名瀬根瀬部間の県道沿いなどで確認された。17年度は宇検村宇検―大和村今里間の県道沿いで試験的な駆除作業を実施した。
地元の植物に詳しい人へのヒアリング調査では、奄美大島では20年ほど前に侵入が確認された。道路整備に伴い、種が土のうに混入していたり、のり面に吹き付けられたとみられる。
奄美自然保護官事務所の岩本千鶴自然保護官は「沖縄では森を一つ飲み込むほどの勢いで広がり、駆除に手を焼いている。一度はびこると駆除が難しい」と早急な対策の必要性を指摘し、「今防除をすれば拡大が防げる。しっかりモニタリングしながら駆除を進めたい」と述べた。