新種アマミムヨウラン発見 奄美大島、植物研究家の森田さん
2019年05月23日
奄美大島の山中でランの新種が見つかり、「アマミムヨウラン」と命名された。奄美市名瀬の植物研究家、森田秀一さん(61)が発見。神戸大学大学院の末次健司講師(生物学)らの研究チームが新種と確認し、22日付の国際学術誌に論文を掲載した。
ムヨウランは、葉を持たず(無葉)、光合成を行わない地生ラン。キノコやカビの菌糸を根に取り込み、消化して生育する菌従属栄養植物の仲間。開花期など地上に姿を現す期間が短く、見つけるのは非常に困難とされる。
アマミムヨウランは高さ約15㌢。花は緑がかった黄色で直径約1・5㌢。森田さんは2018年5月、奄美で未発見のエンシュウムヨウランに似た本種が咲いているのを見つけ、標本を神戸大に送った。
末次講師らが調べたところ、エンシュウムヨウランとは唇弁の色や形が違うことや、遺伝子情報から新種と確認。学名は森田さんにちなみ「Lecanorchis moritae」と付けた。
森田さんは16年にもユキノシタ科の新種「アマミチャルメルソウ」を発見している。「これまで奄美になかった新しい植物が見つかる可能性は十分にある」と今後の調査に意欲を示す。
アマミムヨウランの発見について、末次講師は「奄美大島の森の豊かさやそこにすむ菌類の多様性を示すもの。多くの方に地元の宝という意識を共有してもらえればうれしい」と述べた。