深海にも成長速いサンゴ 喜界研参加のハワイ調査で判明
2020年06月18日
喜界島サンゴ礁科学研究所(渡邊剛理事長)などの研究チームは、ハワイの深海に生息するサンゴの調査の結果、光の少ない環境でも、浅い海の個体と同じくらいの驚異的な速度で成長していることが分かったと発表した。15日発行の学術誌に論文を掲載した。
発表によると、研究チームはハワイ沖の水深68~110メートルに生息するセンベイサンゴを採取し、サンゴの骨格の年齢を調べた。センベイサンゴは、共生する褐虫藻の光合成によってエネルギーを得る有藻性イシサンゴの仲間。太陽光が届きにくい深海では非常にゆっくり成長していると考えられていたが、水深68㍍以上の深度ではほとんど報告がなかった。
分析の結果、採取したセンベイサンゴの成長率は、水深68メートルで年間2・5センチ、同110メートルで7・6ミリと、浅い海にすむ個体の成長率に匹敵する速さだった。
研究チームは、センベイサンゴの骨格が、表面積が大きくなるように放射状に成長するなど、光を効率的に吸収できる構造になっているとして、「光の少ない環境で成長率を保ち、他の成長の遅い生物との競争に勝つことができた」と考察。
研究の成果について、「サンゴの柔軟な適応戦略を示す」と評価し、「サンゴ群集がダメージを受けても、これまで考えられていた以上に早く回復ができると考えられる」と期待を示した。