ノネコセンター7月運用開始へ/きょうから猫の譲渡先募集/奄美大島

2018年06月14日

 

7月中旬に運用を開始する奄美ノネコセンター=13日、奄美市名瀬

7月中旬に運用を開始する奄美ノネコセンター=13日、奄美市名瀬

 島内5市町村でつくる奄美大島ねこ対策協議会(事務局・奄美市環境対策課)は7月中旬、野生化した猫(ノネコ)を捕獲して一時収容する施設「奄美ノネコセンター」(奄美市名瀬)の運用を開始する。収容数は約50匹。希少な野生生物を襲うノネコを山から排除し、生態系の保全を図る。運用開始に先立ち、収容した猫の譲渡を希望する個人や団体の募集を14日に始める。

 

 奄美ノネコセンターは、同協議会が2017年度、県の地域振興推進事業で旧県立大島工業高校敷地内の職員住宅を改修して整備した。改修費は1486万6千円(県、5市町村が各2分の1負担)。建物はコンクリートブロック造り2階建て、延べ床面積約107平方㍍。3月末に完成した。

 

 ノネコの捕獲は環境省が担う。山中にかごわなを設置して18年度は月間30匹、計270匹の捕獲を計画している。同センターに収容後、譲渡先が見つからない場合は1週間をめどに「安楽死」の処分とする。

 

 猫の譲渡対象者は、島内外の自ら飼育する個人・法人や、新しい飼養者を探す活動を行う動物愛護団体など。室内飼いやマイクロチップの装着、不妊手術が条件。不妊手術の費用(1万5千~2万5千円程)は同協議会が負担する。チップの装着費用や入院費、輸送費などは自己負担。

 

 対象者には同協議会の審査を経て認定証を交付。事前講習の受講や譲渡後の定期的な飼養状況の報告が必要となる。

 

 奄美大島の森林部には600~1200匹の猫が生息していると推定される。国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少な野生生物を捕食する被害によって生態系への影響が懸念され、奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けた喫緊の課題となっている。

 

 環境省と県、島内5市町村は今年3月、18年度から10年間のノネコの管理計画を策定。同計画に基づいてノネコの捕獲、譲渡を行うほか、ノネコの元になる野良猫の増加を防ぎ、飼い猫の適正飼養に向けた取り組みも同時に進める。

 

 環境省奄美自然保護官事務所の岩本千鶴自然保護官は「官民が連携して着実に山からノネコを排除し、(野良猫など)発生源対策も進める」と力を込める。同協議会会長の平田博行奄美市環境対策課長は「希少な生き物を守るためとはいえ、猫を犠牲にしないですむように飼い主を募りたい」と協力を呼び掛けた。

 

 5市町村のホームページで14日午前10時から、譲渡先の募集要項を掲載する。