ハイビスカス800本伐採 宇検村・環境省
2019年07月23日
環境省と宇検村は22日、奄美最高峰・湯湾岳(694㍍)の中腹を縦断する村道湯湾大棚線で、道路沿いに植栽されたハイビスカスの一種で外来種のブッソウゲ約800本の伐採を行った。来年夏を見込む奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けた生物多様性の保全が目的。同省は「外来種は自然遺産を目指す上で大きな問題。地域の協力を得て一つ一つ駆除していきたい」と述べた。
ハイビスカスはアオイ科フヨウ属の植物の属名。奄美に自生するフヨウやハマボウも同じ仲間。一般的にハイビスカスと呼ばれるブッソウゲは南中国やマレーシア、インドなどが原産とされる。沖縄や奄美には古い時代に移入され、生垣や街路樹として広く親しまれてきた。
湯湾岳一帯は、常緑照葉樹の森に希少種や固有種も含め多様な動植物が生息、生育する世界自然遺産候補地の核となるエリア。
環境省によると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)が自然遺産登録に向けた現地調査で湯湾岳を訪れた2017年10月、村道沿いのブッソウゲについて「ここに外来種である園芸品種が植えられているのはどうなのか」との指摘を受けた。IUCNは奄美・沖縄へ登録延期を勧告した18年5月、外来種対策を課題の一つに挙げた。
伐採は同省が村側に提案して実施を決めた。作業には両者の職員ら20人余が参加。自然遺産の推薦区域が含まれる湯湾大棚線の湯湾岳公園入り口から村役場方面へ約2・5㌔の区間で伐採を行った。
宇検村は1986年、ハイビスカスを村花に指定し、村道沿いなどにブッソウゲの植栽を進めてきた。作業に参加した元山公知村長は「村花の伐採にはいろいろな意見があった。奄美の未来のためには仕方ないと結論を出した。村花は残す。庭先などに植えるのは規制しない」と話した。
同省奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は「奄美を代表する自然環境が残る重要なエリア。村が植えたものだけに複雑な思いはあるが、賛同を頂き感謝している」と述べた。
奄美・沖縄では来年夏の自然遺産登録に向けて、今年夏から秋ごろに再びIUCNの現地調査が行われる。