手術済み1割超、人里からか 奄美大島でノネコ捕獲検討会
2019年12月25日
環境省が奄美大島の山中で進める野生化した猫(ノネコ)の捕獲に関する検討会(座長・石井信夫東京女子大学教授、委員4人)が24日、奄美市名瀬の奄美文化センターであった。2018年7月の捕獲開始から19年11月末現在の捕獲数は計110匹。そのうち不妊手術済みの猫が16匹含まれ、全体の1割超に上った。人里にいた猫が侵入したとみられ、石井座長は「ノネコの発生源となる飼い猫、野良猫の管理が重要」と述べ、対策の強化を求めた。
ノネコの捕獲は生態系の保全を目的に、環境省と県、島内5市町村が策定したノネコ管理計画に基づいて実施。検討会は今年3月に続き2回目。学識経験者で構成する委員と行政関係者ら約50人が出席した。
報告によると、捕獲は現在、森林内の約80平方キロのエリア内に生け捕り用のかごわな300基を設置して実施。目撃情報があればエリア外でもわなを設置して捕獲するピンポイント作業を行っている。
捕獲数の内訳はエリア内が88匹、ピンポイント作業が22匹。同島では集落などにいる野良猫の繁殖制限を目的に不妊手術を施す5市町村のTNR事業が行われているが、捕獲されたノネコのうち、手術済みの印に耳先をカットされた猫がエリア内で9匹、ピンポイント作業で7匹確認された。
捕獲したノネコは死亡した2匹を除いて全て譲渡され、殺処分した個体はいない。
捕獲作業に伴う野生生物の混獲では、国の天然記念物で同島固有のアマミトゲネズミの混獲が217件に上り、今年8月に1匹の死亡が確認された。混獲防止のため、わなの改良などの対策を進めている。
同省はノネコの効率的な捕獲やノネコの元になる野良猫、飼い猫対策を課題に挙げ、20年度は▽効率的な捕獲手法の確立▽捕獲作業地域の拡大、移動の検討▽希少種の生息状況のモニタリング―などに取り組む。
石井座長は「捕獲エリアは島の一部に限られている。2、3年でノネコの捕獲手法を固めて、全島に拡大すべきだ」と述べた。