新知事に聞く 塩田康一氏(しおた・こういち)
2020年07月14日
政治・行政
任期満了に伴う県知事選は12日に投開票され、無所属新人で前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)が初当選した。新型コロナウイルスの感染拡大防止や豪雨災害からの復旧など早急に取り組むべき課題もある中、選挙戦で訴えてきた「新しい鹿児島づくり」をどう進めるのか。選挙運動期間中の思いや今後の抱負を聞いた。
│過去最多の7人が立候補した激戦を制しての初当選。選挙戦を振り返って感想を。
県内各地を回る中で、手を振ったり声援を送ってくれたりする県民の姿が強く印象に残る。大きな組織や団体の支援がない中、県民の皆さんの支援に本当に感謝するとともに、その思いに応えるため頑張らなければ、という責任の重さを強く感じている。身が引き締まる思いだ。
│特に現職、元職とは激しく競り合ったが、勝因は。現職や元職の支援者との関係をどう構築する。
現県政に対する批判に加え、自身の若さや行政経験への期待が勝因につながったのではないか。それぞれの考え方に沿って候補を支援していくのが選挙。有権者を色分けするのではなく、鹿児島県民として等しく意見を聞きながら県政を進めていきたい。
│すぐに取り掛かるべき県政の課題は。
まずは、新型コロナウイルス対策。県内各地で新たな感染者が次々と出ており、感染拡大防止と医療体制の確保は急務だ。中小企業や事業者の支援については、実態を調査、把握し、必要な改革を進めたい。これからもしばらく雨が続くと予想される中、豪雨災害の対策も重要だ。
│奄美群島をはじめとする県内の離島政策は。
他県と異なる鹿児島県の特色として離島の多さが挙げられる。素晴らしい自然や食、文化など、本土と違う特徴は非常に大きな財産であり、宝でもある。その地域でこれからも皆さんがちゃんと暮らしていけるような産業振興を進め、奄美に関しては、世界自然遺産への登録実現にもしっかり取り組む。今は新型コロナの影響があるが、収束すれば多くの人々の来島も期待できる。今回のコロナ禍で、「都会の暮らし」と「地方の暮らし」を分ける考え方や認識も変わってきていると思う。地方部や離島でも都会と同じ条件で生活できるような情報通信基盤の整備が必要だ。
│県政運営の在り方次第では、1期4年で知事職を終えることにもなる。プレッシャーとなるのか、意気込みにつながっていくのか。
今後4年間の成果を県民の皆さんが見て判断するということ。与えられた4年間を、期待に応えられるようにしっかり県政運営を進めたい。
│4年後の鹿児島県をどうイメージしていくか。
基本は、県民の皆さんが地域でしっかりと暮らしていけることが重要。コミュニティーの維持も含めて、地域がしっかりと生き残るための持続可能な社会構築を図り、雇用や産業創出に取り組む。
(聞き手=鹿児島総局・丸山正浩)
鹿児島市出身。ラ・サール高校から東京大学法学部へ。1988年に旧通産省入省。内閣府地方創生推進室次長、経済産業省大臣官房審議官、九州経済産業局長などを務めた。家族は央子夫人(53)との間に1男1女。鹿児島市草牟田町。