シェアハウスで島留学 知名町で空き家改修
2021年04月08日
地域
知名町の上城小学校(松山淳校長、児童17人)に2021年度、町の留学制度を利用した初の留学生3人が転入した。6日は入学式や始業式があり、3人は初登校。「勉強も遊びも頑張りたい」「海で泳ぎたい」「釣りがしたい」などとそれぞれ留学中にやりたいことを語り、新天地での学校生活に期待を膨らませていた。
町教育委員会によると、同町での留学生受け入れは初めて。20年度に親子留学を条件とした「えらぶゆりの島留学制度」を創設し、準備を進めてきた。同制度では、留学支援補助として1年間、1世帯当たり月額3万円を助成する。今後は同校以外の町内小規模校でも、制度を活用した留学生の受け入れを進める方針。
今回上城小に留学したのは、東京と大阪からの2世帯親子で、児童は4年生2人と6年生1人。住宅は、町地域おこし協力隊が校区内に空き家を改修して整備したシェアハウスを利用する。
息子2人の留学に同行して来島した母親(39)は「昨年の新型コロナウイルス感染拡大による休校で大変な思いをし、人生が変わった」と留学を考えたきっかけを振り返り、「子どもたちには島の生活を楽しんでほしい。将来の自立のため、シェアハウスでの共同生活を通じて掃除や料理を含めた家事を楽しく吸収してほしい。ここに来て良かったと感じてもらえたら」と語った。
シェアハウスは、昨年度まで町地域おこし協力隊を務めた、かまゆきみさんが代表理事を務める「一般社団法人えらぶ手帖」(同町)が運営する。住宅内には住人だけでなく、地域の子どもたちも集い、学べるコミュニティースペースを設置。行政と協力し、毎週1~2回ペースで探究学習を中心とした学びの場も提供する。
留学生の受け入れを校区住民も歓迎しているようで、下城字の市来助徳区長(62)は「字に小学生がいなかったので、留学生が来てにぎやかになると喜んでいる。字の行事にも参加してほしい」と期待を込めた。
同法人ではシェアハウスをもう1棟開設する準備も進めており、かまさんは「共同生活をすることで、各家庭の多様性やその地域の文化の違いなどを感じ、他者と共存して暮らすことを親子一緒に学んでいく場づくりを大事にしたい」と住宅をシェアハウスとした狙いを説明。「子どもたちには、島でしかできない経験を思い切り楽しんでほしい。不便を楽しむ、あるもので生きていくというような生きる力を、私たちも含めてみんなで考え、相談しながら暮らしていくことができたら」と話した。