全乗組員の発見祈る 奄美大島沖パナマ船遭難 瀬戸内町西古見
2020年09月18日
地域
今月2日未明に奄美大島沖の東シナ海で遭難したパナマ船籍の貨物船「ガルフ ライブストック1」(1万1947トン、外国人43人乗り組み)の事故で、生還した乗組員2人が17日、東シナ海を望む瀬戸内町西古見の海岸を訪れ、行方不明となっている乗組員40人の発見を祈った。2人は取材に「救助してもらえたことに感謝し、仲間が見つかるよう奇跡を信じたい」と語った。
第10管区海上保安本部によると、同船は牛約5800頭を積んで8月14日にニュージーランドを出港。今月4日に中国に到着する予定だったが、2日午前1時45分ごろ、奄美大島の西約185キロを航行中に遭難した。エンジン1機の停止後に転覆、沈没したとみられている。
これまでに乗組員43人のうち、2人の生存と1人の死亡が確認されている。生還したのはフィリピン国籍の1等航海士エドワード・サリーノさん(44)と甲板員ジェイネル・ロザレスさん(30)。2人は救助後、奄美市内の病院で治療を受け、宿泊施設で療養していた。
遭難から2週間以上が経過した17日、2人は島内で遭難現場に最も近い瀬戸内町西古見を訪れた。高台にある観測所跡付近から東シナ海を眺め、乗組員全員の発見を祈る儀式を執り行った後、近くの砂浜から海へ献花。いまだ見つからない仲間のことを思い、涙する場面もあった。
サリーノさんは「自分たちが助かったのは、台風の迫る海を捜索してくれた海上保安庁や温かく受け入れてくれた奄美大島の人々のおかげ」と感謝。ロザレスさんは「いまだ行方不明の乗組員を思うとつらい。早く見つかるよう希望を持ち続けたい」と語った。
2人は18日に奄美大島を発ち、19日に帰国する予定。10管本部は通常警戒に伴い、残る乗組員40人の捜索を続けている。