奄美市住用町の海岸に剥製トラ漂着
2018年04月04日
地域
奄美市の住用総合支所に、住民が海岸で拾ったトラとみられる剥製が保管されている。本物のトラの場合は条約や法律で輸出入や譲渡、販売目的の陳列などが禁止されているだけに、関係者は対応に苦慮している。
同支所によると、3月24日ごろ、同市住用町市集落の海岸に剥製が漂着しているのを近くの住民が発見。連絡を受けた県大島支庁が29日に一度持ち帰ったが、発見場所は市の管轄だとして31日に同支所に預けた。
剥製は体長(頭胴長)約1・5メートル。足の骨や胴の詰め物が一部露出しているが、全身の毛は残っている。内部に違法輸入品などが入っている可能性もあるため、奄美署の調査を待っているという。
住用総合支所の職員は「中身に問題がないと確認できなければ対応の取りようがない。本物のトラだった場合は捨てるわけにもいかないが、誰に判断をしてもらうのか…」と困惑気味だ。
トラはワシントン条約で最も規制の厳しい「附属書Ⅰ」に指定され、学術的な研究目的でも輸出・輸入国の政府の許可書が必要。また、種の保存法によって譲渡、売買、販売目的の陳列も原則禁止されている。
ワシントン条約に関する品などの輸出入を管理する経済産業省貿易管理部野生動植物貿易審査室の担当者は「漂着物は輸出入には当たらず、条約には抵触しないと思われる。持ち込まれた経緯を記録して剥製と一緒に保管し、展示や譲渡の際は環境省に指示を仰いでほしい」と話した。