食の自足テーマに沖永良部シンポ
2019年10月20日
地域
第10回沖永良部シンポジウム(酔庵塾、同実行委員会主催)は19日、知名町のフローラル館であった。沖永良部島の持続可能な発展を目指し、「食」をテーマにした基調講演や食料自給率50%などを目標とした分科会討議を行い、食と農を生かした地域興しや、島での食の循環に向けたアイデアを考えた。
酔庵塾の石田秀輝塾長(東北大名誉教授)が基調講演し、沖永良部島の持続的発展に向けて同塾で取り組んできた10年間の活動内容と成果、今後の展望を語った。
石田塾長は「将来の豊かさも担保するには、依存型から自立型へとライフスタイルの変化が必要」などと提起。島で取り組めることとして、食やエネルギーなどをできる限り循環・自足することの重要性を主張。島内に「資源・エネルギー循環利用・促進協議会(仮称)」設立を提唱した。
続いて、食環境ジャーナリストの金丸弘美氏が農家民泊や農村直売所、6次産業などで成果を挙げている国内外の実践事例を紹介し、「例えばジャガイモを売るにも、世界で2千品種以上ある。おいしい物を作るだけでなく、なぜおいしいのか、その作られた環境や歴史、栄養価、食べ方まで具体的に説明できないと、取引につながらない」などと助言した。
参加者を3班に分けての分科会では、▽現在10・3%の沖永良部島の食料自給率(重量ベース)を50%に引き上げる▽学校給食を100%島の食材にする―との共通目標を掲げ、達成するためのアイデアを出し合った。
食料自給率の向上では「地元スーパーなどで売られている地場産野菜をもっとアピールする」「品種別に自給率状況が見えるようにする」、給食の100%地場産化では「島の食材だけを使った『島の日』を設ける」「給食専用の畑を確保する」などの意見が出た。
今回の内容は毎月開催している酔庵未来塾でも議論を深めていく。