江仁屋離島で陸自・海自統合訓練
2019年11月29日
地域
瀬戸内町の無人島・江仁屋離島で今月10~21日、海上自衛隊と陸上自衛隊が、航空機の夜間飛行を含む各種訓練を実施していたことが28日、分かった。防衛省統合幕僚監部が明らかにした。県、瀬戸内町、奄美市には事前に説明していたという。
統幕によると、訓練は全国各地で行われた陸海空の自衛隊統合演習の一環。奄美大島では10~21日、警戒監視や情報収集などを任務とする海自第31航空群(岩国航空基地)と、全国の陸自部隊をまとめる司令塔・陸上総隊が参加。海面に着陸し離陸できる、海自の救難機US2のほか、陸自の多用途ヘリUH60JA、陸自最大の輸送機CH47JAなどを使い、救難訓練や人員捜索、山での行動能力を鍛える訓練などを江仁屋離島で行ったという。12、13日は夜間飛行も行った。参加した人員規模について、統幕は「運用の細部に関わるため言えない」として明らかにしていない。
地元瀬戸内町によると、10月8日に統幕の担当者が、訓練の日程と場所の説明に役場を訪れた。しかし場所については「町内」とするにとどまり、訓練部隊や内容については「知らされていない」としている。
江仁屋離島を管理する加計呂麻島の実久集落へは8月以降2度、統幕の担当者が訓練計画の説明に来島。陸自隊員計143人が参加し、落下傘での降下訓練や、小銃を携行した空砲を用いる訓練をすると説明したという。夜間の訓練には言及しなかった。区長は集落会合の際、口頭で住民に広報したという。
奄美市にも事前に統幕から、江仁屋離島での訓練のほか、市にある陸自奄美駐屯地で、ヘリポートを使用した機動展開訓練をする旨の説明があったという。
町、市とも住民への広報はしていなかった。理由について、瀬戸内町は「何度も行われてきた訓練であり、詳細な説明を防衛省にも求めなかった。住民からの問い合わせもなく、広報の必要性を感じなかった」とする。奄美市は「防衛省が実施するものであり、詳細な内容の説明については防衛省が責任をもって行うべき」としている。
統幕は奄美市の指摘に対し「おっしゃる通りだ」と認めた上で、「自治体や関係機関を含めて、今後適切に対応するように努めたい」と話している。