徳之島、地層にも多様性
2018年07月15日
自然・気象
地層としての連続性がなく、さまざまな種類の岩石や泥などで構成される岩塊を含む地質体「メランジュ」の観察会(徳之島ユネスコ協会主催)が14日、徳之島町金見崎海岸であった。講師として招かれた日本地質学会員の成尾英仁さん(67)=県立伊集院高校教諭=は「メランジュは南西諸島周辺で過去に発生した地殻変動を知ることができる。世界自然遺産登録を目指す徳之島は自然だけでなく、地層にも多様性がある。土台の部分にも目を向けてほしい」と話した。
メランジュは海洋プレートの沈み込みや地滑りなどによって形成された堆積物が固形化したもので、フランス語の「メレンゲ(混ざり合ったもの)」に由来。徳之島のメランジュは関東から沖縄まで分布する四万十層(しまんとそう)群に属している。
成尾さんは約1億年前に水深4千㍍~5千㍍の海溝で、堆積物が地震などで混ざり合って形成されたメランジュについて説明。花こう岩や礫(れき)岩などとの違いも解説した。
島内では伊仙町犬田布海岸のメランジュ堆積物が2009年4月、県指定天然記念物になっている。徳之島町内には金見崎海岸を含む11カ所でメランジュが確認されており、観察会は将来的な町文化財指定も見据え、住民への周知などを目的に企画された。地域住民ら約30人が参加した。
徳之島ユネスコ協会は「今後は徳之島町文化財やジオパークの加盟など、徳之島の魅力をさまざまな方策で活用できるよう検討していく」としている。