クロウサギ事故 過去最多 夜間運転、注意呼び掛け 20年・環境省
2021年01月26日
環境省は25日、奄美大島と徳之島で2020年に発生した希少動物の交通事故の発生状況を発表した。国の特別天然記念物アマミノクロウサギは奄美大島50件、徳之島16件の計66件に上り、過去最多を記録した。今年夏の世界自然遺産登録を目指す両島では近年、クロウサギなどの事故が多発しており、同省は夜間の運転に十分注意するよう呼び掛けている。
クロウサギは奄美大島と徳之島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。両島では15年以降、交通事故の増加傾向が続き、20年は奄美大島で過去最多だった17年(26件)の倍近くに達した。徳之島でも最多だった18年(19件)に次いで多い19年と並び、3年連続で多発している。
国の天然記念物ケナガネズミの交通事故は計6件(奄美大島4件、徳之島2件)。アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミの事故は確認されなかった。
環境省は野生生物を襲うマングースの駆除や、野生化した猫(ノネコ)の捕獲など、両島で保護対策が進んだことで、クロウサギなどの生息状況に回復傾向がみられることが事故多発の一因とみている。
近年は山中の林道だけでなく、交通量の多い国道や県道などでも野生生物の事故が発生している。特に増加が目立つのは、奄美大島では▽県道79号線(名瀬瀬戸内線)の根瀬部(奄美市名瀬)│国直(大和村)、大金久│戸円(大和村)の各区間▽湯湾岳(宇検村、大和村)周辺の林道▽瀬戸内町の町道網野子峠線▽県道85号線(湯湾新村線)など。徳之島では県道松原轟木線など。
環境省は交通事故が多発している道路に標識などを設置して、ドライバーに注意喚起している。奄美野生生物保護センターは「事故が多い道路では、野生動物が急に飛び出してきてもすぐに止まれる速度で運転してほしい。特に夜行性動物が活動する夜間はゆとりのある運転をお願いしたい」としている。