ザトウクジラ来遊、過去最多 21年季の奄美大島
2021年04月20日
奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は19日までに、冬から春にかけて奄美大島近海に来遊するザトウクジラの2021年シーズンの調査結果をまとめた。出現確認数は前季(971頭)を116頭上回る1087頭で過去最多を記録した。加盟10事業者によるホエールウオッチングの参加者は新型コロナウイルスの影響で前季(3684人)より約2割減の2895人だった。
ザトウクジラは体長12~14㍍、体重30㌧にもなる大型のヒゲクジラ。頭部のこぶ状の突起と長い胸ビレが特徴。夏場はロシアやアラスカなどの冷たい海で餌を食べ、冬季に繁殖や子育てのため、国内では沖縄や小笠原などの暖かい海域へ移る。
調査は同協会の加盟事業者などが海上と陸上で出現状況を確認した。今季は20年12月13日に奄美市の名瀬湾沖で初確認。1月上旬から出現が多くなり、2月下旬に来遊のピークを迎えた。最も多かったのは2月23日の38頭。
調査を本格化した14年以降、クジラの出現確認数とホエールウオッチングの参加者はともに増加傾向が続いていたが、新型コロナの影響でホエールウオッチングは予約客のうち360人以上がキャンセルしたほか、航路の減便なども響いて減少に転じた。
事業者らは感染拡大防止のため人数を制限し、乗船前に検温など健康状態を確認してホエールウオッチングの参加者を受け入れた。興会長は「対策を万全にして乗り切った。利用を自粛したリピーターも多い。来シーズンにつながるように質の向上を図っていきたい」と述べた。
船から豪快なジャンプを観察したホエールウオッチングのツアー(奄美大島近海で興克樹さん撮影)