密猟対策アプリ、実証実験へ 環境省、奄美空港職員に研修
2022年03月10日
世界自然遺産に登録された奄美・沖縄で相次ぐ希少種の密猟防止に向けて、環境省はタブレットで撮影した生き物を自動で判定するアプリケーションの開発を進めている。奄美空港(奄美市笠利町)の職員向けの研修会が9日、オンラインで開かれ、約20人がアプリの使い方を学んだ。2022年度に奄美・沖縄エリアの空港で実証実験を行う方針。
アプリは環境省の委託を受けた京都大発ベンチャー企業バイオーム(京都市)が2021年度に開発を進め、11月にテスト版が完成した。
空港の手荷物検査などで生き物が見つかった場合に、タブレットで撮影すると、人工知能(AI)を使った独自の画像認識技術で、法令で捕獲が禁止されている希少種かどうかを判定する。専門知識の少ない職員でも判別ができるようになり、島外への持ち出しを防ぐ水際対策の強化につなげる。
奄美大島では19年、絶滅の恐れがあり、国内希少野生動植物種に指定されているアマミイシカワガエルなどを奄美空港から持ち出そうとした男2人が、種の保存法違反などの罪に問われた密猟事件が発生。奄美空港では希少種などに関する研修会を開いて対策の強化を図っているが、現場で職員らが判別するのは難しく課題となっていた。
オンライン研修会では、バイオームの担当者がアプリの操作方法を説明した。参加した日本航空旅客スタッフの富重有季子さん(35)は「写真を撮ると自動で希少種と分かるので、お客様に自信を持って『持ち出せない』と伝えることができるのはありがたい」と話した。