群島最古の風葬墓か 人骨とカムィヤキ片が出土 知名町大津勘
2020年11月19日
地域
【沖永良部総局】知名町教育委員会が同町大津勘で進めている古墓調査でこのほど、人骨とともに中世に作られていたカムィヤキの陶片が見つかった。周囲に近世の逗子甕(ずしがめ)や茶碗などの遺物はなく、調査を担当する町教委生涯学習課の宮城幸也さんは「岩陰を利用した風葬墓では奄美群島内で最古となる可能性があり、沖縄を含めた琉球列島の墓の文化を考える上で興味深い遺跡になる」としている。
町教委によると今年6月、橋の改修工事に伴う事前の周辺埋蔵文化財調査と町教委が継続して行っている町内古墓調査の一環で発見した。7~9月に墓の外観調査や平面実測、試掘を実施。今月16日からは骨考古学を専門とする鹿児島女子短期大学の竹中正巳教授を招き、カムィヤキ片発見部分の試掘調査に着手した。
カムィヤキは徳之島で11~14世紀にかけて作られていた陶器の名称。大津勘で見つかった一部は、小さなつぼ型で波状の模様があり、11~12世紀のものとされる。人骨は未成人も含めて複数体とみられ、今後、年代測定を行う。
竹中教授は「岩陰を利用した風葬墓からカムィヤキが出土するケースは奄美群島でも珍しい。沖永良部島をはじめ、琉球列島の風葬墓は江戸時代に多く造られたが、いつから造られたのかは分かっていなかった。今回発見した墓がこのタイプの最初の例かもしれず、貴重な資料となる可能性がある。今後の調査の進展が楽しみ」と期待を込めた。