発電用重油タンカーが与論に 軽石影響、2カ月ぶり給油
2021年11月16日
地域
小笠原諸島の海底火山噴火による大量の軽石が漂着している与論島に15日、発電用の重油を積んだタンカーが接岸し、約2カ月ぶりに重油を補給した。与論港は軽石の影響で先月下旬からタンカーが接岸できない状態が続いていたが、国土交通省や海運事業者などが軽石の流入を防ぐ海中フェンスを設置し接岸が可能となった。
九州電力送配電によると、タンカーは10月25日に新与論発電所へ燃料の重油を補給する予定だったが、軽石の影響で引き返した。重油の補給は9月9日以来で、今回は約2カ月分の電力供給が可能とされる重油600キロリットルを補給した。
タンカーは午前8時10分ごろ、与論港に接岸。軽石の影響を軽減する対策として、国交省がタンカー周辺に海中フェンスを設置し、水中ポンプを使ってフェンス内側の軽石を取り除く作業を行った。地元業者らが、ポンプで軽石の少ない深さの海中から海水をくみ上げ、タンカーのエンジン冷却に利用するなどの対策も実施した。
与論町の山元宗町長は「国交省や関係者の皆さんが素早く対応してくれてありがたい。これで島民が安心して正月を迎えられる」と安堵(あんど)の表情を見せながらも、「これからも軽石の影響が続くと大変だ」と影響の長期化を懸念。久留満博副町長も「軽石の影響が長引くとなれば、安定して接岸できるような抜本的な対策が必要になる」と語った。
国交省によると、軽石回収のため与論島へ派遣する同省の海洋環境整備船「海煌」は15日、屋久島の安房港を出港したが、悪天候のため引き返し同港で避泊中。今後、天候が回復次第、与論島へ向かう予定。
15日は、ガソリンや軽油を積んだタンカーも与論港に接岸した。