野良猫の不妊化進む 奄美市名瀬有屋町で調査報告会
2021年03月29日
地域
奄美市名瀬有屋町の野良猫調査の報告会が27日夜、同町の有屋公民館であった。奄美ネコ問題ネットワーク(ACN、久野優子代表)と地域住民が屋外にいる猫の生息状況を調べ、市が繁殖制限を目的に不妊手術を行うTNRを進めた。久野代表は「調査を通じて住民の適正飼養に対する意識が高まった。周辺の地域にも取り組みを広げたい」と述べた。
調査は環境省、県、奄美大島5市町村が生態系保全を目的に策定したノネコ(野生化した猫)の管理計画に基づいて、奄美市が2020年度に着手した野良猫モニタリング事業の一環としてACNに委託。猫の適正飼養を推進して、希少種を襲うノネコのもとになる野良猫を増やさないために、ACNが住民と協力して調査を進めた。
調査は前半の10月と、後半の12~1月に計4日間実施。屋外にいる猫の模様などの特徴や、不妊手術済みの印に耳先がカットされているかどうかを確認し、発見場所を地図に記録。前半の調査では、確認した30匹のうち手術をしていない猫が5匹いた。住民らの情報を基に市がTNRを実施。後半の調査では46匹を確認したが、写真を撮影して耳先の状態を確認できなかった5匹を除いて、未手術の猫はいなかった。
報告会にはACNのメンバーと住民ら約30人が参加した。住民から「町内を回ってこれだけたくさんの猫がいることに気が付いた」「猫の飼い方は昔と違って、家で飼うように飼い主に知ってもらうことが大事」「暖かくなるとまた猫が増える。あらためて調査をすべき」などの意見が出た。
町内会の田丸友三郎会長(68)は「調査をすることで、庭にふんをされたり、猫の被害を受けている住民も多いことが分かった。地域の人に関心を持ってもらえるように調査を継続したい」と話した。
奄美大島5市町村は飼い猫の適正飼養管理条例で、飼い猫の登録やマイクロチップの装着、放し飼いの猫への不妊去勢手術などを飼い主に義務付けている。奄美市環境対策課の平田博行課長は「新規の登録では不妊手術やマイクロチップの装着を済ませた猫が多くなり、住民の理解は進んだ。5市町村で足並みをそろえて飼い主への適正飼養の指導を進めたい」と述べた。